未曾有のコロナ禍で、前期はすべて「オンライン授業」となった。
挑戦に次ぐ挑戦となったが、特に zoom 講義は、学生に予想以上に好評であった。思いがけず出会った zoom は、授業方法の幅を確実に広げてくれた。一方で、深い海を泳いできたような、何とも言えない疲労感がたまっている。
前期の授業が終わった今、備忘録として書き留めておきたい。
1.「海に向かって話す」感覚
講義の受講者はだいたい100人単位なので、zoom講義では通信容量をセーブするため、音声はオフ(ミュート)、ビデオもオフとした。そうすると、名前だけ表示された無数の、整然と並んだアイコンに向かって語りかけることとなる。それも自宅の居間から、ノートPCの画面に向かって、一人で。画面は一度に20名くらいずつしか映らず、スクロールしてもアイコン、アイコンの海。その「海」に向かって、はっきり聞こえるよう声を張った。
2.スローモーションのSF感
少人数の授業やゼミ、実習指導の一環の面談では、ビデオや音声をオンにする。対面授業に近いとは言え、学生宅の居間や部屋などのプライベートな空間が見えていたりするので、不思議な感覚である。バーチャル背景を設定すると通信の容量が飛んでしまう、という事情があるらしい。そして、話し始めると画面がフリーズしてしまう学生が時々いる。スローモーションで、表情がゆっくり動いていく。まるで、SF映画を見ているような感覚だ。
3.オンライン授業の構成
zoom講義に情報環境のトラブルでうまく入れない学生以上に、自宅で Word、Excelやプリンターが使えず、「スマホ」だけの学生がかなりいることも分かった。コンテンツの構成や授業方法を固めていくにあたり、「何で参加しているか」「問題があるか」を聞くアンケートの他、3年生対象の中盤のzoom講義で、「効果的な授業方法」を話し合うグループワークは、大いに参考になった。「バズ学習」などの授業方法を学ぶ教職課程の学生なので、具体的なアイデアが豊富だった。1年向けに respon などの説明資料を作ってくれた学生もいた。この資料は他の学年にも好評で、やはり学生=当事者の視点は大切であることを実感した。
今、ベストと思われる講義の構成はこのようなものだ。
- レジュメ・・・毎回、授業支援システム(manaba)にテキストべた打ちとPDF版をアップロードする。べた打ちやPDF版は、スマホだけの学生が閲覧しやすく、テキストデータをルーズリーフに印刷する(!)といった活用もしやすい。
- 解説・・・毎回 manaba に、レジュメを解説したスライドのPDF版(A4に4枚のレイアウト)と、スライドを解説する動画のストリーミング配信のURLをアップロードする。動画は、zoomで「一人ミーティング」をして録画。右上に私の画像が写り、ひたすら話している(笑)。この動画版は、20分を上限とする。
- zoom講義・・・1年対象の「教職論」は毎回、専門性の高い3年生の授業は隔週で行う。これも上限を20分としたが、時間超過となった回もある。「教職論」は、解説の補足説明の他、「30秒自己紹介」や「先輩の話を聞く」、「地域の連携(先輩による教育系NPOの紹介)」なども行う。zoomの「ブレイクアウトルーム」機能でグループに分かれる場合は、3、4名がベストかも(?)
- アンケート・・・毎回の授業の解説と、zoom講義に対し、出席を兼ねてアンケートを実施した。respon というアプリを使い、特にzoom講義では終盤に開始し、その回答内容を「画面共有」で写し、特徴的な意見や質問にコメントした。
- テストとレポート・・・セットで2回、実施した。Word 文書は作成できない、という学生が少なくなく、オンラインで書き込む形式とした。学生にはポートフォリオとして蓄積でき、私にとっては Excel 文書でまとめられるメリットは大きい。manaba で授業日に公開し、テスト(穴埋めと用語解説)は翌日、レポート(2題で合わせて1,000字程度)は翌々日を締切とした。1回目は「23:30」締切としたところ、夜中に「提出できなかった」と悲痛なメールが届いたりしたため、2回目は「19:00」締切とした。
4.「対面」の大切さ
「オンライン授業」について、学生のアンケート(コメント)では、解説の動画版が「繰り返し見られる」、「音楽のように聞ける」などと思いの外、有益だったようだ。それから、スライドの右肩の小さな私が話しているのも意外に好評で、「ポイントが分かりやすい」というコメントの他、「人がいることで安心できる」「親しみやすい」といったコメントをもらった。画面越しではなるが、「対面」の大切さを痛感した。
zoom講義では、発言、質問がある場合はミュートを外し、できればビデオをオンにするルールとした。自ら発言する学生はわずかで、指名すると確実に明るい声で答えてくれる。数名が私とやり取りするのが、「他の学生の意見が聞けた」「対面授業みたい」などと好評で、本人からは「指されてうれしかったです!」というコメントも。
ゼミ生やNPOに参加する3、4年生には、1年生対象の授業で話してもらった。グループワークに入ってもらった回もある。「先輩の話が聞けた」「質問できた」「かわいかった(!)」と好評で、学生どうしのコミュニケーションは不可欠と感じた。
zoom講義では、発言、質問がある場合はミュートを外し、できればビデオをオンにするルールとした。自ら発言する学生はわずかで、指名すると確実に明るい声で答えてくれる。数名が私とやり取りするのが、「他の学生の意見が聞けた」「対面授業みたい」などと好評で、本人からは「指されてうれしかったです!」というコメントも。
ゼミ生やNPOに参加する3、4年生には、1年生対象の授業で話してもらった。グループワークに入ってもらった回もある。「先輩の話が聞けた」「質問できた」「かわいかった(!)」と好評で、学生どうしのコミュニケーションは不可欠と感じた。
毎回のzoom講義では無謀にも、最後にミュートを外してもらい、全員で「ありがとうございました」と挨拶した。ハウリングしたり、学生のお茶の間?のTVの音や家族の声が聞こえたりするが、挨拶して、手を振る。学生の声が聞こえてくるのは毎回、感慨深いものがある。
最終回では、さらにビデオもオンにしてもらった。「ありがとうございました−」「元気で−」「きゃ−(?)」などの声が長くこだまして、笑顔の学生に会うことができた。
5.様々なコミュニケーション手段
授業用コンテンツがメインだとして、それを支える「サブ」のコミュニケーション手段にも、様々な発見があった。
(1)zoomの字幕機能・音声認識ソフト「UDトーク」
聴覚障害や難聴の傾向がある学生がいて、他の学生にも私の滑舌が心配であり(笑)、zoom講義では UDトークを入れた iPad に語りかけた(PCにインストールできない)。
使えるかも、と教えてくれた聴覚障害のある友人に感謝している。数年前に「UDトーク」の実践報告を聞いた時はあまりいい感触をもたず、半信半疑であったが、精度がかなりよくなっていて、何よりも zoom に連動しているのが素晴らしい。実際に字幕は、様々な状況の学生に好評であった。字幕を使うと画面が固まる、という指摘もあったが・・・。
字幕はテキスト文書として書き出せるので、特にzoom講義を文字起こしして記録できるメリットもある。
(2)Microsoft の Stream のトランスクリプト機能
解説用の動画とzoom講義の録画は、学内の動画配信サービスの Stream にアップロードすると、自動で音声認識して字幕を付けてくれる。「あー」などの口癖を反省せざるを得ないほど(笑)かなり精度が高い翻訳で、修正も可能である。アップロードと修正のスピードがゆっくりなのは、ファイルのボリュームが大きいためだろうか?字幕はテキスト文書として書き出せるので、特にzoom講義を文字起こしして記録できるメリットもある。
(3)zoom講義の裏番組的(?)SNS
zoom の「チャット」機能は便利であった。「聞こえなくなりました」などの個別の連絡の他、学生どうしでやり取りしている様子も見られた。
それから LINE や Twitter。これはまったく私の管轄外で、どんなやり取りが交わされているか見てみたい(笑)。学生は zoom に参加しながら SNS も併用する場合があり、それが良い方向に向かえばグループワークも円滑になるようだ。もちろん、裏サイト化や仲間外しには注意する必要があるが、「今しらべたら、こんな感じです!」と地域ごとの実践例を次々と数名が伝えてきた時は、良い意味で鳥肌が立った。
・・・何だか長くなったが、以上が、前期の「オンライン授業」の所感である。
コロナウィルスの猛威は、いつまで続くのだろう。7月27日に、文科省より全大学宛てに、フィジカルな「対面授業」を促す事務連絡があったばかりだが、どのような形態であれ、学生が大学で学ぶことを楽しめる授業を目指したい。

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