2016年3月18日金曜日

子どもの居場所としての銭湯

 NHK総合・特報首都圏「『銭湯』ルネサンス」2016年3月18日 を視聴する


特報首都圏の銭湯特集。高齢者のコミュニティ云々のお話と思いきや、小学生が一人で入れる銭湯が! しかし、どこのお風呂か聞きそびれ残念。
今時の入浴料は一人460円。子ども料金(小学生は180円、未就学児は80円)は低めだが、「親とセット」が原則なので、牛乳やマッサージ機(特集はスタイリッシュな銭湯も紹介していたが)等も加えると一家で1,000円は超えるのが相場だ。
しかしその銭湯は小学生の一人入浴が出来る。タオル貸出無料なので、180円で入れることになる。映像では、風呂上がりの高学年男子が5、6人で白いテーブルを囲みつるんでいる。つぶれかかった銭湯であったが、「銭湯再生請負人」が辣腕を振るい、朝6時から営業して銭湯好きの高齢者や通勤前の会社員に愛される銭湯に生まれ変わったという。そして、共働きの親が増えたため「子どもの居場所を作る」という思いで、夕方の子ども一人入浴を始められたそうだ。
親子一緒という銭湯業界の常識を見直し、親子一緒に来られる訳がないという時代のニーズを汲み取り、さらに子どもにとって寛げる場を作ろうとする採算度外視の社会事業に見える。もちろん将来的な「お客さん」を育てる狙いもあろうが、子どもの居場所づくりのモデル事業に推薦したい試みである。
番組では子ども絡みとしてもう一つ、神奈川県藤沢市の「銭湯体験」を紹介していた。小学校の「おやじの会」のメンバーが、定期的に小学生を銭湯に連れて行く活動である男子に限られるが10人くらい入って賑やかそうだ。「サッカーが一次会としたら、銭湯は二次会」(←名言!)のように子どもに銭湯に慣れ親しんでほしいという狙いがあると言う。さらに深い狙いには、コミュニケーションが希薄な時代だから、という思いがあるそうだ。
 放課後の居場所としての銭湯。思いがけない組み合わせだが、ぜひ注目したいし応援したい。子どもの銭湯利用について検索したところ、クラウドファンディングのサイトで「ひとりぼっちの子どもの居場所づくり事業:倉敷トワイライトホーム」なる事業を見つけた。目標金額60万円で、今年2月にクリアされている。「公益財団法人みんなでつくる財団おかやま」が企画し、「親が家におらず一人で過ごしている小中学生を対象に、公園で一緒に遊んだりご飯を一緒に作って食べるなどの生活支援を行います。この活動を通じて、地域住民とともに子どもの成長を見守ることができる体制の構築を目指します。」という趣旨だ。社協やNPO等と連携してスタッフの学生(倉敷の事業なのになぜか川崎医療福祉大学の子ども支援サークル)が週2日活動する。で、銭湯とのつながりについては次の記載があった。
 「地域の銭湯などにも共に通い、子どもと地域のつながりを生み出していきます。」
まさに本日の番組のコンセプト、「コミュニティ銭湯」の体現である。
銭湯とコミュニティ形成の結び付きは、実は荒唐無稽ではない。学生時代、(正式な題目は曖昧だが)「銭湯と社会教育」なる卒論が社会教育学研究室の口伝えの伝説になっていた。書いた本人は大学院に進学せず企業就職をしたそうだが、週末は「コミュニティ銭湯」運動に勤しむ好々爺になっているかもしれない。
小学生を含めた若者を見守る「ロビー活動」を重視してきた神奈川の横浜市青少年交流センター(ふりーふらっと野毛山)が今年3月末で閉館と聞く。放課後の居場所はますます管理された空間に、あるいは自宅の狭い部屋の中に収束してしまうかも知れない。地域の人々の銭湯愛(?)と発想の柔軟さと行動力、また気っ風の良さに、放課後銭湯の、そして社会教育の可能性を見た思いである。

*参考

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